【空間づくりの裏話】“音と香りとモルタル壁” 隠れ家サロンに込められた「自分の好き」を形にする空間づくり【ATRIUM HOMME 恵比寿】
ATRIUM HOMME 恵比寿
東京都渋谷区広尾1丁目15番7号 アドビルディング801
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恵比寿駅から徒歩3分。喧騒から少し離れたヴィンテージマンションの最上階に、完全予約制のメンズサロン「ATRIUM HOMME(アトリウム オム)」はあります。
一歩足を踏み入れると、グリーンとスピーカー、DJブースが目に入り、まるで“音と香りに包まれる隠れ家”。この空間は、サロンのオーナー自身が「本当に好きなもの」を一つひとつ選び抜き、丁寧に整えていったものでした。
今回は、途中で止まってしまった工事の引き継ぎから始まり、オーナーさんの世界観を「完成」へと導くお手伝いをさせていただいた施工の舞台裏をご紹介します。
もくじ
- 1. オーナーさんの「好き」が詰まったサロンを仕上げるお手伝い
- 2. スタートはエキスパンドメタルの1枚から
- 3. モルタルを選んだ理由と仕上げの工夫
- 4.予算を抑えるために一緒に塗ったモルタル壁
- 5. スタッフの成長と「粗さ」を活かした施工
- 6. オーナーさんとの信頼関係と広がるご縁
- 7. 編集後記
1. オーナーさんの「好き」が詰まったサロンを仕上げるお手伝い
ー今回のご依頼は、どのようなお客様からのものでしたか?
元々はオーナーさんのご友人(DIYが得意な方)がサロンの内装を進めていたそうです。
ですが、その方が怪我をしてしまい、作業がストップしてしまった。途中から引き継いでくれる会社を探されるなかで、弊社にご相談いただきました。
2. スタートはエキスパンドメタルの1枚から
ー最初はどんなご依頼だったのでしょうか?
最初は「このラック(エキスパンドメタル)を1枚作ってもらえませんか?」という内容でした。
ところがその打ち合わせの場で、「実は雑誌で御社のことを読んでいて、いろいろお願いできると知っています」と言われたんです。結果的に、壁面塗装などの内装仕上げまで施工させていただくことになりました。
3.モルタルを選んだ理由と仕上げの工夫
ー素材やデザインの提案はどう進めたのですか?
ご友人がすでに途中まで進めていた工事です。そのテイストと調和するデザインを目指すべきだと思いました。ご友人が完成させていたカウンターがモルタル製だったので、壁もモルタルを使い、統一感を出す方向でご提案しました。モルタルは私たちが得意とする素材ですし、サロン全体の雰囲気にも合っていたと思います。
4.予算を抑えるために一緒に塗ったモルタル壁
ー施工で印象に残っていることはありますか?
予算をなるべく抑えるため、オーナーさんや奥様も一緒に壁のモルタル塗装をされました。
一緒に汗をかきながら進めた現場は、空間以上に“思い出”が残っています。
また、ラックや鏡などのディスプレイアイテムはオーナー様が自ら選定されていて、空間にしっかりと個性が表れていました。
5.スタッフの成長と「粗さ」を活かした施工
ー施工の仕上がりにはどのような工夫を?
モルタルは塗り方で表情の変化が出しやすい素材なので、あえて粗さや凹凸をつくり、“味”として活かすことを提案したんです。実際には、仕上がりを現場でオーナーさんと相談しながら「これくらいでいきましょう」と進めました。まだ経験の浅いスタッフも参加していたので、今回の現場で学べることも多かったと思います。
6.オーナーさんとの信頼関係と広がるご縁
ー完成後の反応やエピソードがあれば教えてください。
完成した内装をご覧いただいたオーナーさんには、大変喜んでいただきました。また、今回の工事がご縁となりご友人のリノベーション工事もご紹介いただけたんです。内装の工事というのは費用がかかる分、「どこに頼んだらいいのかわからない」と悩まれる方も多いものです。そんな中でご紹介いただけたというのは、私たちもいい仕事ができたという証でもあるかなと、改めて嬉しく思っています。
7.編集後記
ATRIUM HOMMEの空間は、ただ脱毛やアイブロウの施術を受けるだけの場ではありません。五感を心地よく刺激する音楽、ふわりと香るアロマ、手挽きで丁寧に淹れられたコーヒー。そして何よりも、完全予約制のプライベート空間で過ごす「自分のためだけの時間」がそこにあります。そんな空間の世界観を、素材や仕上がり、そして一緒に作業するプロセスそのものから丁寧に整えていく。
今回の現場は、設計図や仕様書には載らない“人と人との距離感”が、空間にしっかりと現れたプロジェクトだったと感じています。
オーナー様の「好き」が詰まった場所に、少しでも私たちの技術が力になれたのなら、本当に嬉しく思います。