【空間づくりの裏話】ホテルライクな暮らしを日常に。戸建て住宅リノベーション【個人邸 板橋区】
今回ご紹介するのは、板橋区にある戸建て住宅のリノベーション施工実例です。親御さんの介護を終え、子育てもひと段落ついたタイミングで、長年住まわれた2世代住宅を“自分たちらしい空間”に変えたいというご相談をいただきました。
コンセプトは「ホテルライク」──白を基調とした清潔感のある上質な空間に、機能性と快適性を兼ね備えたリノベーションプランをご提案しました。
本記事では、工事中の工夫や素材選びのポイント、そして空間に込めた設計の意図など、紡ぐ工房代表へのインタビュー形式でお届けします。
もくじ
- 1. お客様の想いをくみ取る「暮らしの再設計」
- 2. 空間に広がりと統一感を生むデザイン
- 3. 快適性と美しさを両立した水まわり計画
- 4.家にいながら進めるリノベーションの工夫
- 5. 「隠す収納」で暮らしを整える
- 6. 工務店として大切にしていること
- 7. 編集後記
1. お客様の想いをくみ取る「暮らしの再設計」
ー今回のリノベーションはどのような背景から始まりましたか?
親御さんの介護が一段落し、子どもたちも成人されたタイミングで、住まいを自分たちらしい空間にしたいというご相談でした。これまで2世帯住宅として使っていた間取りを、自分たちの暮らしに最適化するかたちで見直すことになりました。実は今回の施主様は、以前施工させていただいたメンズエステサロンのオーナー様のご両親なんです。ご家族を通じ、こうしてご自宅のリノベーションもお任せいただけたことはとても嬉しいことでした。
2. 空間に広がりと統一感を生むデザイン
ー内装のテーマはどのように決まりましたか?
デザイン設計は、「ホテルライクな空間にしたい」というご要望が主軸になっています。白をベースに大理石調のマテリアルを使いたいというご要望もありましたので、その部分を中心として全体の色調や素材感を統一するように意識して構成を組み立てました。
ー壁面を壁紙ではなく、左官仕上げにした理由はどうしてでしょうか?
ご相談のうえ、調湿や消臭の機能もある左官材(漆喰)を使用しました。クロスに比べて初期コストは上がりますが、経年劣化が目立ちにくく、塗り直しで対応できるため、長期的にはメンテナンスコストが抑えられます。完成後の仕上がりを見ても、この選択は正解だったと感じます。
3.快適性と美しさを両立した水まわり計画
ー水回りのリノベーションについて教えてください。
キッチンは、お料理が得意な奥様がご希望の「GRAFTEKT(グラフテクト)」の対面式モデルを採用しています。お風呂や洗面についてはショールームに数回行っていただき、実際に体感していただいたうえで決定しました。
ードレッサーの造作についてもこだわりがあったとお聞きしました。
化粧品や美容アイテムが多い奥様のために、サイズや収納内容を計測して、造作で設計しました。空間の主役としても映えるよう、床や壁のタイルとも統一感を持たせています。
4.家にいながら進めるリノベーションの工夫
ー今回の工事は住みながら進められたそうですね。
はい。騒音の大きい工事のタイミングでは1週間ほどご旅行に行っていただきました。それ以外の期間は、2階の既存設備を活かして生活していただきながら、1階部分を進めました。
ーお風呂の使用にも配慮されたとか。
最初に浴室の工事を完了させることで、工事中も自宅でお風呂を使えるようにしました。毎日銭湯などに行っていただくのは大変なご負担になります。できるだけ普段の生活への負担が少ないよう段取りを組み進めました。
5.「隠す収納」で暮らしを整える
ー収納の工夫について教えてください。
キッチン脇に大型のウォークインパントリーを設け、収納力を確保しました。冷蔵庫もその中に収め、生活感が表に出にくいよう配慮しています。見せる部分と隠す部分のバランスを大切にしながら、使い勝手も向上させる工夫をしています。
ーその他、印象に残っている工夫はありますか?
照明の配置や間接照明の仕込み方にも工夫があります。光の当たり方を計算し、銀色のクロスを使って反射をコントロールするなど、細かな設計提案も盛り込みました。高級なホテルのラグジュアリーな雰囲気を普段の生活の中でも感じる仕上がりになっています。
6.工務店として大切にしていること
ー工務店として、住宅リノベで大切にされていることはどのような部分ですか?
店舗と違い、住宅は「暮らし」そのものがベースになります。毎日の動作や快適さに直結するので、ヒアリングに時間をかけ、お客様の生活リズムや癖まで丁寧にくみ取ることが大切です。
ー今回のプロジェクトを振り返って、印象に残っていることは?
ご家族と日々やり取りしながら、一つひとつのご希望をかたちにしていく過程が印象的でした。特にドレッサーの造作では、奥様がお持ちの化粧品のサイズや使い方、しまい方まで丁寧にヒアリングし、完全オーダーメイドで設計しています。この空間の中でも主役となる存在なので、壁・床のタイルや照明計画とのバランスも細かく調整し、機能性と美しさを両立させました。
先述のとおり、このリノベーションは、以前施工を担当したメンズエステサロンのオーナー様である息子さんの工事がきっかけで任せていただいたという経緯があります。信頼がご家族の中でつながり、新たなご依頼へと発展したことは、私たちにとっても大きな励みであり、責任を持って空間づくりに向き合う原動力となりました。
7.編集後記
ご紹介のオーナー様は比較的高めの予算を確保されており、ご要望も明確だったため、素材やデザインにおいて“攻めたご提案”が可能でした。住宅リノベーションは、「どんな暮らしをしたいか」という願いに向き合う仕事です。今回のプロジェクトでは、空間の印象だけでなく、生活のしやすさや気持ちのゆとりまでもが反映しているように感じました。
紡ぐ工房では、お客様の想いを丁寧にくみ取り、使いやすく、心地よい空間づくりをお手伝いしています。住宅のリノベーションをご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。