隠れ家的サロンで叶える“変わる体験”【ATRIUM HOMME 恵比寿】

恵比寿駅から徒歩数分のところにある、築50年のヴィンテージマンション。その8階にメンズ脱毛サロン「ATRIUM HOMME / アトリウム オム」があります。脱毛やアイブロウ、マッサージ、ヘッドスパなどを提供しながら、訪れた人が「また来たい」と思えるような、居心地の良さと自己変革のきっかけを届けています。
オーナーであり、DJとしても活躍する DJ KRO さんに、この空間に込めた想いや、開業までのリアルな話、紡ぐ工房との出会いを伺いました。
施術だけでなく“変化”を届ける場をつくりたい
──「ATRIUM HOMME」は、どのような想いでつくられたサロンなのでしょうか?
ATRIUM HOMME は“メンズトータルビューティー”を掲げ、脱毛・アイブロウ・フェイス&ボディマッサージ・ヘッドスパまでワンストップで受けられるサロンです。
「施術をして終わり」ではなく、来店することで“自分が変わる”感覚を持って帰っていただきたいという想いを込めています。脱毛後のマッサージやヘッドスパ、ラウンジで一息つく時間まで含めて「また来たくなる体験」を設計しています。
──サロンという業態を選んだ理由はありますか?
DJとして培った発信力やコミュニティをそのまま生かせる場を探していたときに、美容――とりわけ「脱毛+α」で人の変化に寄り添える分野に強く惹かれました。
単に施術を提供するだけでなく、来店した方が「自分はもっと変われる」と感じられる場所をつくる。その理想をかたちにしやすい業態が、トータルビューティサロンだったんです。
また、祖父の代からつづく家業(電気工事会社)を継ぐ前に、実地で経営を学ぶことが必要だと思ったのも、大きな理由です。
築50年。恵比寿のビンテージマンション8階を選んだ理由と戦略
── 路面店ではなく、現在の場所を選んだのはなぜですか?
路面店も内見しましたが、恵比寿だと月60〜70万円前後が当たり前でした。初出店で重い固定費を抱えるのはリスクが高いですし、「家賃を抑えたぶん、空間の質とサービスに投資するほうが自分らしい」と考えました。そこで築50年のヴィンテージマンション8階に決めました。
外からは目立ちませんが、隠れ家らしい特別感が出せますし、芸能関係のお客様にもプライバシーを保てるメリットがあります。
── 物件探しにかけた期間と、決断の決め手を教えてください。
半年で十件ほど内見したのですが、「家賃を抑え、そのぶん空間づくりへ投資する」と方針を固めてからは一気に絞れました。
最終的にこの区画に決めた理由は3つあります。
ひとつめは、路面店の三分の一程度という家賃と、保証金二か月分のみで済む契約条件が魅力的で、浮いた資金を内装や設備に回せること。
ふたつめは、DJ 活動で培った発信力を生かし、看板の代わりに SNS で集客する戦略が描けたこと。
みっつめは、最上階までエレベーターで上がり扉を開けると突然広がる非日常の空間、いわば“秘密基地感”が、リピーターづくりに効果的だと感じたからです。
考え抜いた、最小コストで始めるための計画と工夫
──初期投資の内訳を具体的に教えてください。
開業に掛かった初期コストは、物件取得費・内装費・医療機器費の3つに大別できます。
まず物件取得費は保証金2か月分と前家賃1か月分で約60万円。続いて内装・家具では、床や扉の造作、モルタル壁、DJブースなどを整え、おおよそ300万円を投じました。さらに施術用の医療機器は、友人から安く購入できたこともあり100万円程度に抑えられています。
その他にも細かな費用はかかりましたが、初期コストは借入ゼロで2年以内に回収する計画でした。事前に1000万円ほど貯め、最悪赤字になっても持ちこたえられる算段を立てていました。
クラウドファンディングと仲間の支え
── クラウドファンディングも活用されていました。
事業を始めるにあたり、「自分の思いに共感してくれる仲間と一緒にスタートを切りたい」と考え、CAMPFIREでクラウドファンディングを実施したんです。
『サロンを開業したい』という表面的な話だけでなく、これまでの生い立ちや音楽への思い、さまざまな葛藤なども包み隠さず発信したことが大きかったと思います。
支援者は130名を超え、100万円を超えるご支援をいただきました。金銭面以上に「あなたならできる」と背中を押してもらえたことが何よりの励みになりました。
紡ぐ工房との出会いと深まった信頼関係
──「紡ぐ工房」との出会いについて教えてください。
もともとは、友人に内装の一部を手伝ってもらっていたんです。DIYが得意な人で、床や壁の仕上げなどを一緒に進めていたんですが、途中でその友人が怪我をしてしまって、作業がストップしてしまったんです。
そこで「途中からでも引き継いでくれる会社を探そう」と思い、ネットで検索して見つけたのが紡ぐ工房さんでした。最初は、エキスパンドメタルの什器を1台お願いできないかという軽い相談だったんですけど、打ち合わせで「モルタル、お好きなんですね。だったら壁も塗ってみませんか?」と提案いただいて。そこから一気に信頼が深まりました。
結果的に、床・壁・扉まで空間全体をお任せすることに。雑誌で見かけていた通り、というよりそれ以上に熱量があって、レスポンスも早い。「この人たちなら任せられる」と直感しました。
自ら手を動かし、空間に愛着を生む
──工事の中で、特に印象的だったエピソードはありますか?
自分の手を動かしたことで、この空間への愛着がぐっと深まりましたね。モルタル特有のムラや質感も活かされて、ラフだけど表情のある仕上がりになりました。今でもその時の感触を思い出せるくらい、印象に残っています。
施工後も続く安心感 ─ 紡ぐ工房との関係性とは
──オープン後のやり取りは?
LINEでちょっとした相談をすると、すぐに反応してくださるのが本当にありがたいです。照明の微調整や什器の追加など、オープン後に出てくる細かい要望にも柔軟に対応してくれて、施工が終わってからもつながっていられる安心感があります。
僕にとって、紡ぐ工房さんは“仕事相手”というより、空間づくりを一緒に走ってくれるパートナーのような存在です。誰かから内装の相談をされたら、迷わずまずここを紹介しています。それくらい信頼してますし、途中でバトンを渡したからこそ、結果的に理想以上の空間ができあがったと感じています。
これから新規店舗を開業するオーナーさんへのアドバイス
── これからお店を開く方にメッセージをお願いします。
大切だと思うのは「どこにお金と時間をかけるか」を最初に明確にすることだと思います。私は “毎月出ていく固定費を抑えて、そのぶん空間とサービスに再投資する” という方針を立て、家賃を路面店の3分の1に抑えられる 8階物件を選びました。浮いた予算でモルタル壁や DJ ブースなど、世界観を決定づける部分にはしっかりお金を使えましたし、作業の一部に参加させていただいたことでより空間への愛着も湧きました。
もうひとつは“誰と組むか”です。紡ぐ工房さんに依頼したことで、コストを抑えるアイデアや「ここだけは妥協しないほうがいい」という助言をリアルタイムでくれました。内装会社を選ぶときは、価格や知名度だけでなく「こちらの思いを汲み取って柔軟に動いてくれるか」「完成後も気軽に相談できるか」を重視すると後悔しません。
あとは、自分の強みをどう集客に生かすか。私は DJ として培った発信力とコミュニティがあったので、人とのつながりや、 SNS を“入口”にする戦略を描けました。固定費・施工・集客――この三つのバランスを、自分のスタイルに合わせて設計できれば、限られたコストでも理想の空間は必ず形になると実感しています。
ギャラリー
編集後記
“脱毛サロン”の枠を超え、自己変革を後押しする体験型サロン──ATRIUM HOMME は、DJ KRO さんの戦略と熱量、そして紡ぐ工房の柔軟なモノづくりが重なり誕生しました。
ヴィンテージマンションの8階という場所に、今日も「また来たくなる」時間が流れています。
紡ぐ工房では、地域密着型の店舗づくり・空間づくりをお手伝いしています。物件探しから施工後のサポートまで、長く寄り添える工務店をお探しの方は、ぜひ一度ご相談ください。