【空間づくりの裏話】ワンオペでも心地よく働ける店、どう設計した? 【小料理つばめ / 八王子】
小料理 つばめ
代表 土屋 翼
東京都八王子市大横町14-1
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今回ご紹介するのは、2024年 八王子にオープンした和食料理屋「小料理 つばめ」。店主・土屋 翼さんが、都内のさまざまなお店で修行を積み重ねた末に開いた、自身初の店舗です。
店主 土屋さんへのインタビュー記事はこちら
八王子の工務店「紡ぐ工房」が伴走させていただいた本プロジェクトでは、オーナー・土屋さんとの出会いから、動線や素材に込めたこだわり、そして施工現場での工夫まで、空間づくりの舞台裏が随所に詰まっています。
本記事は、紡ぐ工房の代表にお話を伺いながら、その裏側をひもといていくインタビューシリーズの一環としてお届けします。
もくじ
- 1. お客様の想いをくみ取る「物件探し」からの伴走
- 2. デザインと動線の両立を目指したレイアウト
- 3. 調理中でも「顔が見える」レイアウトへの工夫
- 4.「自分の店をつくる」体験を大切に
- 5. 地元・八王子だからこそのつながりと喜び
- 6. 工務店として大切にしていること
- 7. 編集後記
1. お客様の想いをくみ取る「物件探し」からの伴走
ー今回のご依頼は、どのようなお客様からのものでしたか?
飲食店で長年働かれていたオーナーの土屋さんからのご相談でした。独立を目指しており、出店は1年後を想定されていました。そのため、施工のご相談というよりも、まずは物件探しから一緒にスタートしました。
ー物件探しではどのようなサポートを行いましたか?
八王子周辺の候補物件をいくつか一緒に見て回り、「この物件ならどれくらいの施工費がかかるか」「動線はどう取れそうか」といった現実的な部分も含めてアドバイスをさせていただきました。最終的に、理想に近い立地と広さの物件を一緒に見つけることができました。

2. デザインと動線の両立を目指したレイアウト
ー設計の際に特に重視したポイントはどのような部分ですか?
オーナーがワンオペで運営される予定だったので、厨房に立ちながらお客様の様子が見えること、作業中でもスムーズにサービスができることを重視しました。厨房と客席のバランスを考えながら、コの字型のカウンターをメインにレイアウトを設計しています。
ー客席構成にも工夫があったと伺いました。
はい。カウンター中心の構成に加え、テーブル席も設けました。お一人の方から、ご家族連れなど複数人でも利用できるような柔軟性のある空間構成にしています。
3.調理中でも「顔が見える」レイアウトの工夫
ー厨房からお客様の様子が見えるようにするために、具体的にどのような工夫をしましたか?
焼き場をカウンター側に配置することで、調理しながらでもお客様と会話が生まれるように設計しました。そのために給排水の位置を調整する必要があり、設備工事も含めて柔軟に対応しました。
ー客席側にもシンクがあると伺いました。
あえて客席側にも小さなシンクを設置しています。お客様の目に触れる場所での調理は“ライブ感”があり、お店の空気づくりにもつながります。厨房の中に閉じこもるのではなく、空間全体とつながるような配置を意識しました。
4.「自分の店をつくる」体験を大切に
ー空間づくりにおいて、施主である土屋さんご自身が関わられた部分はありますか?
たとえば、照明は土屋さんの奥様が選ばれ、看板は土屋さんご本人がネットで見つけてきたものを使用しました。私たちとしても、施主さんが「自分で選んだ」と実感できるポイントを意識的に残すようにしています。
ー造作家具にもこだわりが見られましたね。
はい。カウンターやテーブル、収納などはすべて造作で設計しています。素材や高さ、サイズ感など、細かい部分も一緒に検討しながら決めていきました。お店全体に統一感が生まれるとともに、日々の使い勝手にもつながります。
5.地元・八王子だからこそのつながりと喜び
ー今回は地元・八王子での施工となりましたが、何か印象的なことはありましたか?
普段は都内での施工が多いため、八王子での現場は私たちにとっても特別でした。準備や現場対応がしやすく、いつもよりさらにスムーズに進めることができました。
ー現場での周囲との連携はいかがでしたか?
搬入や工事の騒音には周辺への配慮が必要です。同じ建物内に入るテナントのオーナー様とも良好な関係を築けたことで、工事も問題なく進めることができました。地元ならではの信頼関係に助けられたと感じています。
6.工務店として大切にしていること
ー紡ぐ工房が施工で大切にされていることを教えてください。
空間は“会話”から生まれるものだと思っています。どれだけ丁寧にヒアリングし、どれだけ施主の想いをくみ取れるかが、その空間の質を決めると感じています。
ー施工後の関係性についてはどう考えていますか?
私たちは、施工が終わったあとこそが本当のお付き合いの始まりだと思っています。定期的にお店に伺って、ちょっとした相談にも気軽に応じられる存在でいたいと考えています。
7.編集後記
今回の施工を通じてあらためて感じたのは、「どんな空間にしたいか」という想いに、どこまで丁寧に寄り添えるかが、お店づくりの満足度を大きく左右するということです。
一つひとつのやり取りを重ねながら、言葉にならないイメージやこだわりをかたちにしていく──それが、紡ぐ工房の空間づくりにおいて何より大切にしている姿勢です。
当社では、物件探しの段階からご相談に乗りながら、設計・施工はもちろん、素材や家具のご提案、開業後のサポートまで一貫して伴走しています。
「自分らしいお店をつくりたい」「想いを形にしてくれるパートナーを探している」
そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。